STAFF BLOG
先日、谷口吉生さんがご逝去されました
私が一番好きな建築家でした
幼少のころからものを造ったり
絵をかいたりすることが好きで
父の仕事や職人さんを見て育ったので
建築の道に進んだことは自然な流れだったかもしれません
ただ、大学にはいってからは建築が日常的なものから
学問に変わり、周囲の友人たちが
国内外の著名な建築家や建てた建物について
話していることにどうしてもとけこめず
どちらかというと感動するスポーツや映画などに
時間をついやしていました
ある日、建築の友人から「葛西の水族館」いいよ!一度いってみたら!といわれ
建物というよりも水族館なら小学校以来だしおもしろそう!
と軽い気持ちで思い行ってみました
30年以上前のことですが、この時のこの日の体験は
その後の私にかなり影響を与えることになりました
葛西臨海公園駅を降りると
海に向かって真っすぐ広い道が伸びていました
臨海公園なので周囲には、家族連れやカップルたちが
休日を楽しんでいる光景が広がっていていい感じです
(写真はネットからなのでひとけがないですm(__)m)
そこを歩いて進んでいくと道が少し左に折れ
今度はやや地下道のような感じのやや狭い通路が
やはりまっすぐ海に向かって伸びています
そこを進んでいくと
地下に埋まったような感じの水族館の切符売り場があり
その向こうにある階段を登り
地上にでると視界が一気に広がりました
青い空と海が一気にひろがり
その先には水族館の「建物」ではなく、
ガラスの帽子のような形したドームが
水盤の上に静かに建っていました
この時、映画で感動した時のような鳥肌が立ったことは
今でも鮮明に覚えています
帽子に近づいていくと丸い大きな水盤の真ん中に建っており
さらに近づいていくと、海と水盤の間には切れ目がなく、
まるで海と一続きに見え、自分たちは海の上に立っている感覚になります
時間によっては切れ目から噴水が噴き出し
海と水盤と自分たち以外が全くない世界につつまれます
(私たちはその体験はできませんでしたが・・・)
さらに近づいていくとその中には水族館はなく
地下へと延びるエスカレーターだけがありました
水盤の中に沈み込むように降りていくと
直径30mの巨大な水槽の中でマグロが高速でグルグル泳いでいました!
な、なんだこりゃ!す、す、すごすぎる!
水の透き通るブルーと銀色に光るマグロが
自分のまわりをすごいスピードで泳いでいる
いままで体験したことのない状況に、
感動で鳥肌が涙に変わりそうでした
ネットも携帯もない時代でしたので事前情報もなく
想像を超えた水族館にどぎもをぬかれた感じでした
駅からここまでのストーリーも納得
感動させることのできる建物に巡り合えた瞬間でした
建築には言葉ではなく感動を与えることができることを
教えていただきました
その後も谷口さんの建築を実際にいくつか見てきましたが
共通して勝手に感動してしまうのです
特に豊田市美術館はおすすめです!
その理由は、美しいとか、透き通る、周辺環境への配慮…
などいろいろ語られていますが、
「言葉ではなく感動させてしまう建築」
大好きでした
この想いは自分の子供たちや高校の生徒には
これからも伝えていきたいと思います
(↑10年以上前に子供たちを連れて行ったときのもので、
彼らも「すげーっ!かっけーっ!と子供なりに感じていたようです)
もう谷口さんの新作が見られないと思うと悲しいですが今あるものはなんとか残してほしいと切に思います
とても残念ですが老朽化により閉園が決まり、
取り壊す、壊さないでいまだに揺れているようですが
なんとか残してほしいですm(__)m
谷口吉生さんのご冥福を心よりお祈りいたします
by t.ohara